自然科学では、いろいろな物理量が用いられます。物理量を表す基準となる量を、物理量の「単位」と言います。物理量の単位は、物質世界で起きる現象の測定を通して定められます。
国際機関で合意された 「国際単位系」( 略称SI ) による時間の単位と長さの単位は、次のようにして定められます。
国際単位系( SI )における「時間の単位」は
秒(びょう) (s)
です。秒(びょう)は日本語で、後ろの(s)のなかはローマ字の読みです。秒の長さは、次のように定められました(
《 参考資料 un-1 》):
秒( second、s )は、133Cs原子の基底状態の2つの超微細準位( F=4、M=0 および F=3、M=0)の間の遷移に対応する放射の 9192631770 周期の継続時間である。
この定義は、セシウム
133Csという物質から出る放出光が、一定の時間間隔で振動を繰り返すという原理を利用しています。この放射光が 9192631770 回だけ振動した時間間隔を、1秒(1s)と定めたのです。
国際単位系 ( S )における「長さの単位」は
メートル (m)
です。メートルの長さは、次のように定められました(
《参考資料 un-1 》):
メートル( metre、m )は、光が真空中で 1/(299792458)[s]の間に進む距離である。
長さの単位を定義するのに、時間の単位である「秒(s)」を用いています。ですから、長さの単位を定めるには、それに先立って、時間の単位がすでに定義されていることが前提になっています。長さの単位の定義には、『 “光の速度”は常に一定である 』という物理学の基本原理が用いられています。
《 時間の単位 および 長さの単位 終り *** 》